今回はアガベの胴切りについて解説をしていきます。
・失敗したらどうしよう…
・どのくらいのサイズからできるの?
・ナイフ?ワイヤー?どれを使ったらいいの?
今回はこんな疑問に答えていければと思います。
本記事の内容
・胴切りとは
・胴切りの適期
・胴切りできるサイズは?
・【サイズより重要】失敗しないためのポイント
・ワイヤーのメリット・デメリット
・胴切り(ワイヤー)のやり方を写真・動画で解説
・胴切り後の管理方法
※以前こちらの記事で刃物でアガベの胴切りを行いました。
今回はワイヤーを使った方法についてご紹介します。
わたしはアガベを中心に様々な植物を約4年間育成しています。
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※今回のやり方はあくまでわたしのやり方です。
行う際には自己責任でお願いします。
胴切りとは
胴切りはアガベを中心部から切り、
強制的に子株を出させたり、
下葉が傷んだ株を仕立て直す目的でおこなわれます。
中心部の成長点を失った地上部(上側)は
葉の間にある成長点が動き出して子株を出します。
植物強い生命力を生かした増やし方です。
胴切りの適期
日本におけるアガベの生育期である3月〜10月まで行えます。
しかし、胴切りした天部分(上側)の発根管理や
梅雨は蒸れで傷口が乾きにくなどを考慮すると
初心者の方には3〜5月頃がおすすめ。
胴切りできるサイズは?
このサイズからできる!というのはありませんが、
子株を出させたい場合、ある程度の大きい方が失敗しにくいと思います。
ワイヤーの場合、大株ほど力が必要になりますので
4~5号鉢サイズくらいからやってみると安心かと思います。
わたしは大株は刃物、子~中株葉ワイヤーと使い分けています。
【サイズよりも重要】失敗しないためのポイント
サイズよりも重要なポイントが3つあります。
・根がしっかり張っている
・サイズよりも葉数
・子株が出ている株
根がしっかり張っている
根がしっかりと張っていることは重要です。
ただでさえ地上部がぶった切られているのに
根から吸水(栄養補給)もできないとなると、
体力も尽きてそのまま枯れてしまう可能性があります。
サイズよりも葉数
サイズもある程度必要ですが、
それよりも葉数が重要です。
胴切り後は葉と葉の間の成長点から子株が出るので、
できるだけ葉数は多い方が良いでしょう。
葉が残っていると光合成にも有利なので
できるだけ下葉を残すようにしています。
子株が出ている株
これはあくまで経験上なのですが、
胴切り前から子株が出ている株の方が
胴切り後も子株が出やすいように感じます。
子株が出てるってことはそれだけ株も充実しているからですかね?
ワイヤーのメリット・デメリット
ワイヤーで行うメリット・デメリットを解説します。
ワイヤーのメリット
・葉を傷つけにくい
・下側の葉が残せる
・天(上側)の下葉が残せる
・葉を傷つけにくい
ワイヤーのほうが刃物よりも、
葉を傷つけるリスクは少ないです。
そのため傷口からの病気や腐りのリスクを減らすことができます。
・地上部(下側)の葉が残せる
ワイヤーの方が下葉を傷つけることなく残しやすいです。
子株は葉と葉の間にある成長点から出るので、
下葉は多く残した方が良いです。
上すぎると生長点が残ってしまい、
天(上側)がダメになってしまうので注意。
下葉がなくても子吹くことはあるようですが、
葉があった方が光合成も出来て良いと考えています。
・天(上側)の下葉が残せる
胴切りした天部分は発根に時間がかかることが多いので、
発根管理が長引くと下葉から枯れてきます。
そのため天(上側)も葉数を残せると、
その後の発根管理がしやすくなると思います。
ちなみにですが
こちらの胴切り天(上側)は発根までに約半年かかりました。
ご覧の通りどんどん小さくなってます。笑
ワイヤーのデメリット
・大株になると力が必要
・ワイヤーが切れて失敗することもある
大株になると力が必要
いや、ここまでは必要ないです笑
でも大株になると中心部の径も大きくなるので、けっこう力がいります。
大株の場合は2人がかりで行なったり、
あるいは刃物の方が楽かもしれません。
ワイヤーが切れて失敗することもある
ワイヤーの太さによっては切れてしまう可能性があります。
ワイヤーでは難しいと判断した場合は刃物を使用しましょう。
胴切り(ワイヤー)のやり方を写真・動画で解説
ここからはワイヤーでの胴切りのやり方を解説します。
用意するもの
・アガベ
・ワイヤー(太さ0.45mm)
・ハサミ
・手袋
・ダコニール粉剤
・株を固定するもの
今回胴切りする株はこちら
ワイヤーの太さは0.45mmのものを使用しています。
太すぎると切れ味が下がり、細いと切れやすいです。
例えばこんなものですが
ホームセンターなどに売っている切り売りのもので良いと思います。
長さは株によって違いますが長めがおすすめ。
手袋はケガ防止のためには必須です。
切創、切断に強い作業用手袋をおすすめします。
傷口の消毒には今回はダコニール粉剤を使用します。
株を固定できるものがあるとやりやすいです。
胴切りの手順
①ワイヤーを殺菌
②株を固定する
③切る場所を決める
④ワイヤーを通す
⑤ワイヤーを引く
⑥下葉の処理
⑦傷口の殺菌、乾燥
①ワイヤーを殺菌
ワイヤーを火であぶって殺菌しておきます。
病気の伝染にもつながるため
株ごとに道具は殺菌するようにしましょう。
②胴切りする位置を決める
切る位置を決めます。
胴切りは株から成長点を切り離すことが目的ですので、
成長点が残らない、かつ下葉もある程度残せる所を狙います。
この株ではあたりを狙います。
成長点が残ってしまうと胴切りではなく
たけのこ切りという手法になってしまいます。
たけのこ切りとは・・・
成長点よりも上を切って株をリセットする方法
成長点が残っているため、そのまま中心部から新しい葉が展開してくる。
③ワイヤーを通す
先ほど決めたラインにワイヤーを通します。
葉と葉の間にしっかり通っているか確認しましょう。
④株を固定する
切る場所を決めたら、倒れないように固定します。
ポット用トレーに固定したり、
二人がかりで行う方がやりやすいです。
わたしはもちろん1人でやるので
足の間に挟んでます。笑
⑤ワイヤーを引く
ワイヤーを引いて切断します。
引くときのポイントはまっすぐ引くこと。
斜めや下向きに引いてしまうと下葉を傷つける原因になります。
きれいにできました。
⑥下葉の処理
傷ついた下葉を処理します。
今回きれいにできたので
地上部(下側)の葉はとくに処理しません。
天部分(上側)は今後の発根管理のために、
成長核が露出するように下葉を取り除きます。
⑦傷口の殺菌、乾燥
傷口から腐りや病気にならないように殺菌、乾燥します。
今回はダコニール粉剤を傷口にまぶしておきます。
その後は風通し良い日陰でよく乾燥させます。
胴切り後の管理方法
傷口が完全に乾くまでは風通しの良い場所に置き、
雨に当たらないようにしましょう。
地上部(上側)の管理
明るい日陰で管理します。
水やりは傷口部分が濡れないように、
鉢底から給水します。
生育期で、風通しの良い場所なら腰水管理でも良いと思います。
天部分(上側)の管理
傷口が完全に乾いたら発根管理に移ります。
天の発根は時間がかかることもありますが、
発根管理については基本的には他の株と同じです。
胴切りから数週間・・・
胴切り後しばらくするとこのように葉の間から子株が出てきます。
すぐに子株が出なくても、葉が枯れてくる様子がなければ生きているので、
焦らず気長に待ちましょう。
胴切りからでた子株の収穫についてはこちら
まとめ
アガベはとても生命力の強い植物です。
今回ご紹介したポイントに気をつけて行えば、
失敗しにくいかと思います。
株を増やして、仲間とトレードしたりするのも園芸の楽しみですよね。
みなさんもぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
※今回のやり方はあくまでわたしのやり方ですので
行う際には自己責任でお願いします。