今回はアガベにとって悪名高い害虫
「アザミウマ」について解説します。
園芸に害虫トラブルはつきもの
大切なアガベを守るための対策方法についてお伝えします。
・アガベの害虫について知りたい
・アザミウマの被害にあってしまった・・・どうしよう
・どうしたら防げるの?
このような疑問に答えていきたいと思います。
本記事の内容
・アザミウマとは
・アザミウマ被害の症状
・アガベの害虫対策
・薬剤耐性について
わたしはアガベを中心に様々な植物を約4年間育成しています。
Instagramにて初心者の方からの質問等も受け付けていますので、
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アザミウマとは
アザミウマ(別名:スリップス)は体長1~2mm程の微小害虫。
口の器官で植物に穴を空けて吸汁する。
被害をうけると吸汁による被害痕、生育不良、ウィルス媒介による病気の伝染などが生じる。
15〜30℃で羽化率が高く、4月〜10月に発生しやすい。
(参考:ミカンキイロアザミウマの発育期間と産卵数)
また恐ろしいことに
アザミウマは単為生殖でメス1匹だけでも増殖するとのこと。
(参考:アザミウマと植物の生物間相互作用とその応用)
アザミウマは多くの農作物野菜、花き類まで被害を及ぼす厄介な害虫です。
アガベでは葉に被害跡が残ることで、鑑賞価値も下がってしまいます。
アザミウマの症状
アザミウマの症状は
・吸汁による被害痕
・生育不良
・病気の伝染
うちで実際に被害がでた株を見てみましょう。
アザミウマの被害痕
褐色に変色し、かさぶた状になっています。
こちらはAgave titanota 黒桃
新芽に近い中心部は柔らいため食われやすい。
生育不良により、被害を受けてから鋸歯が明らかに弱くなっています。
生長点付近が被害にあっているのも要因のでしょうか。
また害虫は病気(植物ウイルス)の伝染媒体にもなります。
そのため害虫によって病気の多重被害をおこす可能性があります。
アザミウマの対策方法
アガベは比較的強い植物なので、枯れてしまうことは少ないです。
しかしアザミウマは繁殖力が高く、
他の株にも被害が出る可能性があるので、はやめに防除しましょう。
基本的には殺虫剤によって防除します。
土に混ぜ込む殺虫剤
植え付けの時に用土に混ぜ込んだり、
植えつけ後に株元に撒くタイプの粒状殺虫剤です。
雨や水やりによって溶けた薬剤を
根から吸い上げることによって、植物全体に効果を発揮します。
予防効果もあります。
おすすめはこちら
アガベの用土についてはこちら
散布する殺虫剤
殺虫・殺菌剤を定期的に散布します。
殺虫・殺菌剤には様々な種類があるので、効果にアザミウマ類と記載があるものを散布しましょう。
実際に私が使用している殺虫・殺菌剤
殺虫:オルトラン、アファーム、ディアナ、ストロビー
殺菌:ダコニール、ベンレート、トップジン
※あくまで参考程度にお願いします。
なぜこのように多くの種類を使用しているかというと
毎回同じ殺虫・殺菌剤を使用していると害虫や菌に耐性ができてしまうため、
いくつかの種類をローテーションで使用しています。
耐性については後に詳しく解説させていただきます。
※スプレータイプのベニカはアガベの品種によっては薬害が出る可能性があるようです。
わたしの周りでも実際に薬害(葉焼け)が出た例も聞かれます。
薬害が出やすいアガベとしては
アガベ チタノタ BB(Agave titanota black&blue)
アガベ チタノタ 黒炎(Agave titanota blackfire)
※黒炎は台湾産の方です。
原因は定かではありませんが使用を控えることをおすすめします。
またもし使用する場合はよく振ってから散布することをおすすめします。
どの農薬においても薬害については自己責任にてお願いします。
抵抗性・耐性について
毎回同じ殺虫・殺菌剤を繰り返し使用していると
害虫や菌に抵抗性(耐性)ができてしまい、薬が効かなくなることがあります。
アザミウマについてもこれまで有効であった薬剤の効果が低下している事例がみられ、
農業においても全国的な問題になっているそうです。
(参考:アザミウマ類の各種薬剤に対する感受性)
そのためいくつかの種類の薬をローテーションで使用するようにします。
※ここでいう種類とは薬の名前ではありません。
作用、標的部位、有効成分など科学的知見に基づいた分類になります。
詳しくは農薬工業会のRACコード(農薬の作用機構分類)をご確認ください。
害虫用トラップ
こちらは害虫用の粘着トラップ
つるしてくことで害虫を誘引し、防除するもの
くれぐれも自分がトラップに引っかからないように注意したいです。
まとめ
・アザミウマは4月~10月に発生する微小害虫
・症状は吸汁による被害痕、生育不良、病気の伝染
・対策法は殺虫・殺菌剤をローテーションを組んで散布
園芸には害虫被害はつきものです。
わたしも防除に努めていますがそれでも出るときは出ます。笑
そもそも自然界では虫や植物はバランス保って共存しています。
それを人間が自然の一部を切り取って楽しんでいるものなので、
バランスが崩れて害虫が出るのはある程度仕方のないことだと考えています。
冬が終わり、いよいよ園芸シーズン!
しっかりと対策をして楽しいAgve lifeを!